「これはミステリではない」という本を読んだ。タイトル買い、つまるところ音楽でいうところの「ジャケ買い」ってやつだ。洋楽好きな知り合いが言っていてかっこいいなと思っていたけど、音楽なんて分からないし、でもそういう気分を味わってみたかったので、本をタイトル買いすることを僕はジャケ買いと呼んでいる。
今はAmazonで何でも買えるし、中古で買うにしてもAmazonの方が安く買えて良い時代だ。それでも本屋に行く理由があるとしたら、僕は「ジャケ買い」だと思う。Amazonでは、探している本しか見つかりにくい。いや、見えないことはないし、Social Mediaなどを併用すれば、誰かがお勧めしてて、そのおすすめが刺さった商品をAmazonで検索して購入できる。それは僕もよくやる手口だ。しかし、実際に本屋に行って、じっくり平台、棚をみて惹かれたタイトルの本の中身をチラ見し、よみやすそうであれば買う、もしくはAmazonで安く買えるか探す。というのが僕の本を買うときの一つのルーティーンであり、その過程は楽しい。本屋はワクワクするのだ。
「これはミステリではない」というタイトル通り、ミステリ要素は20%くらいだったが、ちゃんと少しだがミステリ要素も入っていたし、僕的には新しいタイプのお話の構成だったので十分楽しめた。
ゴリゴリのミステリ、洗練されたトリック、どんでん返しがないとミステリを読んでいる気がしないというのであれば、この本はあまりおすすめできないかも。
一つケチを付けるとしたら、肝心の謎解き部分のトリックについてだ。あまり直接的に書かないようにするが、どうしても少しネタバレ気味になるので、こんな誰も読まないであろうブログではあるが一応。これから読みたい人はここからは見ないほうが良いかもしれない。
僕が少々気に食わなかったのは一点。このミステリーで一応あった謎解きパートについてである。犯人は他の人の車のトランクにあるものを入れたのだが、犯人はその人が車のトランクを開けるという可能性を全く考えなかったのだろうか。そこの言及が小説内でも行われていなかったし、リアリティが無いと思った。なぜなら彼らは1泊2日の合宿に行く予定だったからだ。合宿に行くということはそれなりに大荷物がある可能性がある。その場合はトランクに荷物を入れる可能性は、ある程度あると思わないんだろうか? しかも犯人は、その場から離れて自宅へ行き、その人物にピックアップをしてもらっている。「それ」をトランクに入れた状態で放置して、自宅へ行き、ドライバーにピックアップをしてもらう。車を離れている間、トランクの中身を見られる可能性が大いにあるのだ。僕だったらもう心臓バクバクでやってられない。その間にとんでもないことをしてしまったと居ても立っても居られないだろう。 ここの部分が例えば、
そのドライバー自身が犯人の方が、もっと納得感があったと思う。それがないことが、リアリティを欠いた原因であると僕は感じた。小説内では、ドライバー自身が犯人であると、少し無理が生じると言うことが書いてあるが、それよりも僕はトランクの中身を見られる可能性があると言うのにその場に自分が居合わせず平気でいられる神経の方が余程不自然だと感じてしまった。
もしくは、ドライバーがトランクを開けない明確な根拠、例えば、ドライバーは荷物を後部座席に必ず入れると犯人は知っていて、それが確実だと言うことが示されていれば、まだ納得感がある。しかしながらそれでも、運転中に例えば車が故障して、トランク内にある修理器具を取らなくてはならないとなった場合は一大事だ。どちらにせよ、死体を放置して自分はのうのうと自宅で待っていると言う図太い神経は僕にはない。
まぁこれは小説の中に登場するミステリ志望の大学生が書いた小説なので、そこまでのクオリティを求めるな。それも含めての「これはミステリではない」だ。ということなのかもしれないが、この小説唯一の謎解きパートだと言っても過言ではないので、そこは少しこだわることで、もう少しミステリ好きを納得させられたのではないだろうか。
まとめるが、僕がこの本をミステリ本として採点するとすると、以下のようになる。
- アイデア: 5/5
- どんでん返し: 2/5
- トリックの納得度: 2/5
- キャラクターの魅力: 3/5
大体、ミステリに必要なのは以上の4条件だと僕は思っている。今回、マトリョーシカ構造にするというアイデアはすごい面白かったし、それが直接どんでん返し要素にもなっているが、弱いなーと感じた。また、トリックの納得度も前述したようにイマイチ。キャラクターも、せっかくサイコパス的なキャラクターがいるのでもう少し際立たせてそいつにフォーカスしたらもっと面白かったのかなと感じた。