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何でも屋さん仮説

Aug 04, 2023

海外での生活が長ければ長いほど疑問だったことが一つある。日本人の生産性が低いのは、なんでだろう?僕は仕事において関連作業が多すぎる、何でも屋さん仮説を唱える。

低い低いと言われているが、なにがどれくらい低いのか、一回確認をしておく必要がある。

以下のページより、いくらか引用する。

問題は、従来のGDPで考えた場合、最近の日本は長い間足踏みをしている状態と言って良い。とりわけ、「1人当たりGDP」の数値は、日本経済のバランスの悪さを示唆している。

2018年時点だが、日本の国のGDPは世界第三位なのに対し、1人当たりのGDPは世界第26位だったらしい。今現在ではどうだか知らないが、国のGDPも1人当たりのGDPもまだまだ落ちると聞いた気がする。最近では韓国にも抜かれたというニュースを見た。

引用したページにもいくらか触れられていたが、一般的に言われている原因はいくつかある。

  • 少子高齢化が進んでいるということ。これは、人口ピラミッドが歪な形になり、(1) 労働人口が減っているということと、(2) 定年退職後に低い賃金で働いている高齢者が多いということが挙げられる。労働人口が減っているという点は、一人当たりGDPに直接響く要因となりうる事象であるだろう。正確には労働人口の比率が、全体の人口に占める割合が低ければ、それは直接1人あたりGDPを下げる要因だからだ。なお、ちょろっと調べた感じだと、年金はGDPに含まれないそうなので、これは正しそうだ。実際僕自身の両親も2人とも正社員で長年働いていたが、年齢に達したら問答無用で再雇用扱いになり、給料がガクンと下がったらしい。同じ仕事をしているのになんで下がるんだと嘆いていたが、まさにそれはその通りだと思った。おそらくこれは、日本の会社は人をクビにできないのと、実力昇給ではなく年次昇給に重きを置く傾向があるため、長期にわたって雇用されている人は、実力に関係なく給料が高い傾向にあるからどこかで帳尻合わせが必要で、それが定年ということなんだろうが、どちらにせよ歪なシステムである。なお、このことが日本人の1人あたりGDPを下げる要因になるかと言ったらわからない。なぜなら、雇用の流動性があるということは、適正な給料以上の給料を払っていると会社が判断した場合、クビ、つまり、給料を0にしたり、減らすことができるからだ。実際に日本の失業率は諸外国よりも低く、これは一人当たりのGDPを押し上げる要素ではないだろうか。

  • 企業の内部留保が多いということ。これは、企業が積極的に設備投資、人的投資を行なっていないことを意味するので、GDPに関わってくることである。今、世界はインフレの時代に突入すると言われているが、もしそれが本当なら、チャンスかもしれない。インフレすると企業が抱えている内部留保の価値は年々下がるため、それよりも色々なところに投資をして回収しようという動きが出てくるからである。

今年の夏は思い切って2ヶ月も休みを取り日本に帰ってきている。「大人の夏休み」ももうすぐ終わってしまう。夏休みの終わりというのは何歳になっても切なく儚いものだ。

10年前にカナダに移住してから、何回か日本に帰ってきているが、結婚式関連のことが多く、それなりに自由時間が取れる休みは今回が初めてである。

日本は本当に便利だ。まず本当に助かるのが役所の対応である。今回2ヶ月まとまって帰ってきた一番の目的は不妊治療だ。保険を使うために、以下の手続きを行う必要があった。

  • 転出して住民票を抜いていたので、転入して住民票を戻す
  • 国民健康保険に加入して健康保険証をもらう。
  • 保険適用の限度額適用認定書というものをもらう。(不妊治療は、高額医療なので、保険適用されても支払額は結構かさむ。その支払う限度額を被保険者の収入に応じて適用してくれるというものだ。)

これだけの書類をもらい、更にマイナンバーを申請するのに、3時間程度で済んだが、カナダではそうは行かないと思う。

カナダにも、国民皆保険があるが、申請から適用されるまで2ヶ月ほどかかるので、それまでは保険が効かない。。まぁどっちにしろ不妊治療はもちろん保険適用外なので、高額の医療費がかかる。

そもそも不妊治療のために2ヶ月だけ帰国するというのは想定されていないし、そのために保険を戻すということ自体あまり褒められた行為でないことは自覚しているので、カナダが悪い訳では無いが、日本は便利すぎる。

他にも日本は何かと便利だが、多分それは僕も含めて日本人が良い意味でも悪い意味でも ”Detailed oriented”(日本語で正しい言葉が思いつかないが、要は細部にこだわるということ。)だからなのかなーと最近思っている。

例えば、僕の妻のお母さんは某ファストフードチェーンで働いているのだが、職場の話を聞くと色々と驚くことがある。いかにいくつか例を記す

  • デリバリーはUber Eatsがあるにもかかわらず、さらにはデリバリーが立て込んだ時は自店舗の店員をお店から引き抜いてデリバリーに行かせるらしい。その間特にデリバリーを考慮してシフトを組んでいるわけではないので、単純にお店の人手が1人減ることになる。Uber EatsがあるならUber Eatsに任せれば良いじゃないかと思ってしまう。
  • 商品の入れ間違いのミスがあった時に、お客さんが選べる選択肢が二つあるらしい。一つは、その商品をお届けすること。もう一つは、お得な無料クーポンをお渡しするということ(またこのクーポンもお届けするか、来てもらうか、はたまた郵送するかを選べるらしい)ここで、お店にお客さんの家まで届けさせるという選択をするお客さんの多いこと多いこと。この時間は正直無駄でしかないし、なんの生産性もない。カナダだったらただ謝られて終わりか、もしくは良い対応だとしても無料クーポンがもらえる・その日のキャッシュバックがあるか。ぐらいである。

また、妻の幼馴染の1人は、1級建築士なのだが、この間一緒に地元のお祭りに出かけようという約束をしていたのに、クレーム対応に追われて仕事がのび、結局一緒に祭りに行くことは叶わなかった。聞くと、わざわざお客さんのところに1級建築士自らが出向いて、お話ししてきたので、1日が外回りで潰れ、その日やるべきだった作業を本来の終業時間後にやらなくてはならかったそうだ。カナダなら、おそらくクレーム対応にそこまで時間をかけない。まずそもそも、建築士が対応せず、カスタマーサービス担当が会社にいるはずだし、わざわざお客さんのところに出向くこともないだろう。


ここでさっきの一人当たりGDPの話に戻ると、要は、日本人はGDPを上げるには無駄なことに努力する傾向が強すぎるということだ。そして、本当はファストフードの店員をやるはずの人がデリバリーをしたり、建築に集中すべき1級建築士がカスタマー応対に追われたり、要は何でも屋さんにならなくてはならないのだ。

何でも屋さんは一見聞こえがいい。なぜなら、その分の人材を雇わなくても、会社の色々な部署の仕事を兼任できるからだ。しかし、ファストフード店の例のように、生産性をなにも生み出さない過剰なカスタマーサービスをおこなったり、1級建築士のような高度な専門職に従事するものが、他の仕事をしなくてはならないという状況は、明らかに生産性、ひいてはGDPを落とす要因だと思う。


思考の原石を、磨きつづける。

© Motokusa — Thoughts in the Rough