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バンクーバーの夏はみんな良いと言うが

バンクーバーに移住してから10年経って、初めて真夏に日本に帰国している。


「バンクーバーの夏は最高!夏に日本に帰るなんてもったいない」とみんなが毎年言うもんだから、すっかり日本の夏にびびってへっぴりごしで飛行機に搭乗した。


実際に帰国してみるとなんてことはない。確かに暑いけどメリハリがあってこれはこれで素敵だなと思うのは僕だけなんだろうか。

むしろ、ずーっとこの夏を経験していなかった僕にとってはまるで南国ーハワイにでもきたような感覚になっている。


乾燥した気候でカサカサになっていた肌の一部は、バンクーバーではクリームを塗っても何をしても治らず、痒すぎたのに、日本に帰ってまだ1週間だが、毎日ちょっとクリームを塗るだけどすこぶる調子が良い。


人がストレスを抱えず生活する条件って色々あると思うんだけど、メリハリって結構大事な要素だと思う。知らない間にバンクーバーの安定した夏(雨降らない、ちょうどいい暑さ)になれて、体がメリハリを欲していたんじゃないか説を唱えている。


この前、自転車で市営のジムまで行ってみた。ジムは妻の実家から20分ほどで着く。途中上り坂が続くので、朝9時ごろに家を出てまだまだ朝の涼しい時間帯だが、ジムに着くまでの20分で、かなり汗が出てくる。僕は汗をかきにくい体質だが、さすがに日本の暑さではいつもは頑なに体の中に留まろうとする僕の頑固な汗も、ついには降参し、外に噴き出してくる。

ジムの入っている、大型モールの駐輪場に自転車を止め、同じくモールの中に入っているスーパーにひと時立ち寄り、冷房がギンギンに効いたフロアに身を置く。

これが僕のいうメリハリだ。自転車に乗りながら、「あ゛ーーぢーーーー」となり、スーパーの中で「あー生き返るー!」となる。


他にも、急に雨が降ったらアスファルトに雨が当たって、独特の匂いを発する。この匂いの正体は、ガスや排ガスを含んだ埃と水が混ざって、アスファルトの熱によって、気化したものだということだが、バンクーバーではおそらく温度が低すぎて気化しにくいのだろう、あまりそういう匂いもない。また、雨も夕立のような激しく降る雨がバンクーバーではないため、これまた刺激的なメリハリ体験だ。

昔のどっかの偉い人、僕は忘れたけど枕草子だっけ?「春はあけぼの」とかなんとかでいろんな季節に不便に感じることも、楽しもう的なことを書いてた気がする。 例えば逆に寒い冬の朝は、米を研ぐのが大変だけど、悴む手で米を研いだり、こたつの中でぬくぬくしたり。 本当に四季豊かでメリハリがはっきりしているというのは、それだけで人生を豊かにするんじゃない?って今回日本の夏に、仕事の都合でそこしか帰れない!ってなったおかげで気づいた。

こういう体験をすることで、心の底から、「生きてるなーっ」って実感できるから、そういう刺激が足りなかったんじゃないかと思う。


もちろん、日本にずっと住んでいて、毎日仕事もしていて、僕みたいに夏休みで仕事もせずに夏日本に滞在しているのとでは違うんだろうけど、そういう側面はあるんじゃないかな。

というわけで、もし、バンクーバーに滞在していて夏日本に帰りたくないと思っている人は、ぜひ一度、帰ってみてください。


思考の原石を、磨きつづける。

© Motokusa — Thoughts in the Rough